The Energy of Life~運命を変え、創造する~
episode1|松本由美子

松本由美子 CNE 上級講座

「自分は犠牲になってもいい。夫のために、子どものために、、、」

これは私の口癖であった。家族のために自分の一生を捧げることが妻として母親としての役割であり、喜びでもあると信じていた私。医者である夫を支え、子供の幸せを願ってやまない私なりの信念を持って家事も育児もしてきたはずなのに、ひとりで頑張っているようなどこか空虚な寂しい気持ち。そして顕著に現れてきた私と長男との心のわだかまり。「愛されていない気がする」という長男の屈辱的な一言。毎日苦しい。うまくいかない。不安ばかりが圧し掛かる日々。

 

そんな時、知人を介して出会ったクラウドナイン・エデュケーションの『おやべん講座』。観方や視点を変えて子供や夫と実践的に関わっていくこの講座で、私は自分がいかに狭い価値観の枠に縛られて生きてきたかを痛感させられた。講座の内容は、“自分も相手も大切に、素直な気持ちを伝え合う”というとてもシンプルなもの。今までの自分は夫と子供の気持ちをきちんと観て感じることが怖くて、ただ自分の思い通りにコントロールしようとしていただけかもしれない。そして、自分の気持ちも行動も犠牲にし続けてきた私にとって、自分の本当の気持ちに向き合うことすら非常に難しく、怖いことに気付いたのだ。なぜなら自分の気持ちに素直に動けばきっと家族を犠牲にし、今手の中にある幸せが壊れていくとわかっていたから。

 

それでも気付いてしまった湧き出てくる本当の自分の想い。『上級講座』を受講し始めてからの私は、今まで“できない”“ムリだ”と最初から決め付け自分を過小評価してきたが、本当の自分はもっと欲深くずっとその欲を押し殺していただけということに気が付いた。妻として母親としての自分という狭い枠で、まるで囚われの身のごとく自己犠牲を払っていたはずが、実はそのような状況を望んでつくりあげていたのも他ならぬ自分であった。その現実を突きつけられ気付いたことで、自ら縛り付けていた家族という名の鎖を外し、私は心のままに動くことを決めた。

 

心の中にずっと閉じ込めてきた、妻や母親という役割ではない“助産師”である私。『出産を通じて育まれる母と子の関係が人間形成の基盤となる重要なものであり、妊婦さんとその家族が求める未来に向かって自分たちで考え、選び、家族のつながりを深めていくことがいつか世界平和へとつながる』ということを私はずっと信じ続けている。そしてそのお産に関わることが“私の使命”であると確信した。

 

動き出すと決めてからは、すべての舞台が整えられているかのごとく迷う間もなく突き動かされていった。一番の気がかりであった家族は望む未来に向かっていく私を快く受け入れ、できる限りの協力体制でサポートしてくれている。自己犠牲を払いながら生きる上で少なからず障壁と思っていた家族は、実は私にとって一番の支えであったのだ。ひとりで頑張ろうと意地を張っていた私が“助けて”と素直に弱音を吐いて人と関われるようになったことも大きな喜びだ。

 

お産に関わることを『上級講座』で覚悟した私は、自宅出産を請け負う助産師として今まさに歩み出し、先日初めての出産を無事終えた。心も体も一心不乱に突き進んできたこの3ヶ月。この慌しい感覚はどこか懐かしく、そんな自分に愛おしさをも感じている。そして新たに観えた課題。それは、これまでの学びや経験の枠を超えた、人の命・生死やその人自身の生き方に関わっていくこと。ただ助産師として一方的な無償の愛を注ぎ続けるだけでなく、お互いが自立した上で支えあう相互依存の関係を目指すことでより深い喜びを得ること。そして“助産師”としての自分と“松本由美子”としての自分。どちらの自分にとってもより深い満足を得られるお産をめざすこと。私はこれからたくさんの出会うべき人と出会い関わり、これらの課題の答えを実感していくであろう。

松本由美子 CNE 上級講座

本当の自分の姿で望む未来に向かって動くことは苦しくて楽しくて、ソワソワして心地が良い。どんな気持ちも受け入れて迷うことなく進んでいることを実感できていることはCNEに出会うまでは想像もつかなかったこと。ぶれることのない自分で今この瞬間を生きていることに心からの安心があり、そんな自分を誇りに思う。

(聞き手 宮武千聡)

 

~あとがき~

私が初めて出会ったときの彼女は、まるで“助産師”として人の命を預かれるような頼もしさは微塵にも感じられないほど、いつも落ち着かずにソワソワしているように感じられた。それから一年、彼女ととともに講座を学びながら、苦しみもがきながら本来の彼女に戻っていく変貌ぶりを間近で見てきた。恐れることを避け、本心に触れないようにいつも上っ面だけで話していた言葉には、いつしか彼女の魂が込められるかのごとくずっしりとした重みが増し、小柄な体つきにも関わらずそのどっしりとした存在感は、その場にいる人を包み込むようなあったかい温度を放つようになった。

今彼女は、一般的にリスクが高いとされる自宅出産をあえて請け負うことに対して、大きな勇気と覚悟を背負う苦しさ以上に、自分の使命に向かって強い意志を貫いているやりがいと満足感で満ち溢れている。今回のお産を通じて、クライアントである妊婦さんとその家族はもちろん、私同様に講座で学んできた仲間にも大きな刺激と影響を与えてくれた。彼女の活動は新たなステージへと駆け上っている。今後どれほどの人が彼女と関わり、その方たちがお産を通じて自分らしい人生の選択をする喜びを実感していくのか、おそらく彼女が想像している以上の未来へとつながっているような気がしてならない。彼女の“満足のいくお産が世界平和につながる”という信念は確実な未来として観えていること、そして寄り添って関わり続けてくれる助産師がここに存在しているということを多くの方に知ってもらうことを切に願っている。


【プロフィール】

松本 由美子助産師
1977年宮崎県生まれ。
松本由美子 CNE 上級講座琉球大学医学部保健学科卒業。アクティブバースを採用する総合病院での勤務の後、個人の産婦人科にて勤務。

その後、国立保健医療科学院国際保健分野を卒業しMPHを取得。特定非営利活動法人HANDSが運営していたKenyaの母子保健プロジェクトSave Mothers in Kisii and Kericho(SAMOKIKE)の助産師専門家として従事。

帰国後に結婚、市町村の母子保健課で保健師・助産師の臨時職員として活動。第一子の妊娠・出産を機に仕事を辞め、育児に専念。

第三子の妊娠中に母乳育児・相談等を主な活動とした「母と子のサロン」を開業。

2016年3月に自宅出産の取り扱いを開始。「たのしまる助産院」と改名し現在活動中。


「たのしまる助産院」

所在地:福岡県久留米市田主丸町益生田
連絡先:E-mail yumiko20@hotmail.com
TEL & FAX 0943-72-0516

活動内容:自宅出産、母子育児相談、ベビーマッサージ、両親学級、おやべん講座


撮影|

Jeong Mun Lee 福岡 写真 プロフィールJeong Mun Lee
1989年韓国昌原市生まれ。

大学在学中の2007年に福岡市に留学。軍隊入隊、除隊を経て再来日。2013年より一般企業にて勤務。2016年に退職後、カメラマンとして独立。子ども、家族写真などの人物写真撮影の他、個人、企業のPR動画作成も行う。その他、液晶看板の修理、パソコンの修理・メンテナンスも行う。

お問合せ|Jeongmun Lee Photo Studio 


取材・執筆|


ちさと宮武
千聡
1981年愛知県生まれ。

三児の母。完璧主義をモットーに生きてきた自分が、育児に関しては頑張っても頑張っても報われないような終わりのない不安と苦しみに限界を感じ、それをきっかけに『おやべん講座』を受講。現在夫婦ともに『上級講座』を受講中。“書く”言葉を通じて人に伝え、人と丁寧に関わりたいという想いから、このたびライターの仕事に初挑戦。その他、自宅にてかきかた教室を主宰する傍ら、趣味の裁縫やDTP関連の仕事も行う。

運命 変化 女性 CNE